不動産の同族間売買

不動産の同族間売買とは同族の個人間、関係会社間等での不動産取引のことを指し、社長の自宅を時価よりも高い金額で買い取った場合など以下のようなケースでは税務上問題が生じる場合があるため取引を行う前にしっかりと対策をすることが必要です。

  • 会社が社長所有の不動産を時価より高く買い取った場合

 会社が社長所有の不動産を時価よりも高い金額で買い取ると会社は時価で不動産を買ったものとして法人税を計算します。つまり、その不動産の時価が取得価額となり、購入価額のうち時価を超える部分の金額は、不動産を譲渡した社長に対する役員賞与とされます。 不動産を譲渡した社長においては、譲渡代金と不動産の時価との差額が、会社から受けた利益(ボーナス)として、役員賞与(給与所得)とみなされます。また、不動産の時価は、不動産の譲渡所得計算上、収入金額とされます。
 不動産の高額買い入れを行うと、社長側で役員賞与として認定される部分が生じます。役員賞与(給与所得)は総合課税で最高税率が所得税・住民税合わせて50%となり、賞与として認定された金額が大きい場合、社長に重い税負担が生ずるおそれがあります。さらに、この認定賞与について、会社では社長の所得税の源泉徴収義務が生じることになります。 したがって、不動産売買の実行に当たっては、不動産の鑑定評価を取るなどして、時価売買であることを証明するなど、慎重な対応が必要です。


  • 関連会社間で時価よりも低い価額で不動産売買する場合

 関連する会社間で不動産を売買することはよくありますが、時価と乖離した価額で売買した場合、税務上の問題が生じる場合があります。 たとえばA社所有の時価3億円、簿価1億円の不動産をできるだけ安くB社に譲渡しようとして、簿価の1億円で譲渡した場合、税務上は時価の3億円で譲渡したことになり、取得価格と時価の差である2億円の売却益が発生することになります。また、B社については時価との差額は受贈益として法人税がかかることになります。したがって、このような場合にも不動産売買の実行に当たっては、不動産の鑑定評価を取るなどして、時価売買であることを証明するなど、慎重な対応が必要です。


  • 不動産の時価

 このように不動産の売買には時価と取引価格の乖離により様々な税務上の問題が生じますが、ここでいう時価とは何を指すのでしょうか。税務上の時価とは「その財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には、通常の取引価額に相当する金額を、それら以外の財産である場合には相続税評価額」(相法7、平元・3直評5外) をいいます。
 税務署に対して売買した金額が通常の取引価格に相当する金額ということをどうやって証明したら良いでしょうか。一般の住宅地については国税庁発表の相続税路線価国土交通省発表の地価公示価格等を活用すれば十分でしょう、その他には、新聞の折り込みチラシなどでも可能です。
  問題となるのは極端な不整形な土地や崖地等の特殊な画地等、時価の把握が難しい不動産ですが、このような不動産についてはやはり鑑定評価書を取得するなどして、未然に税務署とのトラブルを回避することが推奨されます。
 但し、鑑定評価が必要となるケースは限られています、取引予定の価格が時価と乖離しているのかどうか判断がつかない場合は当社の無料相談をご利用ください。

 

留意事項

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